どんな病気?症状は?

心臓病には心筋症と弁膜症があり、その中でも肥大型心筋症は猫の心筋症の中で最も多い病気で、簡単に言うと心臓の筋肉が内側に向かって肥厚していく病気です。

肥大型心筋症になって、心臓の壁が内側に肥厚すると、心臓の中に入る血液の量が減ってしまうので全身へ送り出すことのできる血液の量が減ってしまいます。心臓の役割は全身へと血液を送り出し、酸素や栄養を届けることなので、この病気になると全身の臓器に影響が出てしまいます。

症状としては、初期は無症状のことが多く、症状が進行するにつれて元気や食欲がなくなり、じっとしていることが増えます。(ただ猫は普段からじっとしていることが多いので、異変に気付きにくいという難点があります。)症状は悪化すると、呼吸困難になったり、失神したり、突然死の危険性もあります。

その他、心臓の中で血栓が出来てそれが血管の中につまってしまうことがあり、突然後ろ足につよい痛みを訴えて立ち上がることができないほどになることもあります。そしてこの状態が長く続けば、後ろ足は壊死してしまいます。

原因は?

残念ながらこの病気の明確な原因は分かっていません。ただ、メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどの猫では遺伝的な関連も示唆されています。
また、猫の肥大型心筋症は6歳から16歳までで発生が報告されており、どの年齢でも発生しうる可能性があるということを意味します。

病院で必要な検査、治療法は?

血液検査、レントゲン検査、超音波検査等の検査が必要になります。血液検査で全身状態の把握をするだけでなくCPKという筋肉の中に存在する酵素が高値を示すことがあります。
レントゲン検査では心臓の形が変形し、ハート型のようになることが多くあります。

超音波検査では、実際に心臓の壁の厚さを確認したり、血栓の存在を確認したりすることが出来ます。肥大型心筋症を診断する上ではこれらの検査は不可欠といえます。
治療法は原因が解明されていないため、完全な治療法はありませが、この病気が見つかった時点で、対症療法として強心薬や血管拡張薬などの薬で治療をすれば、心臓の負担を多いに減らすことが可能です。

無症状の猫の場合は、飼い主さんの目には見えないかもしれませんが、猫にとっては呼吸が楽になったり体調が楽になるに違いありません。しかし、明らかに呼吸の状態が悪い場合など明らかに飼い主さんが異変を感じるような状況では、すでに体の病状も悪化していることがかなり多いため、治療に対する反応が芳しくないことも多いにあります。

そのため、検診などで早期にこの病気が見つかった際には、無症状であっても早急に治療をスタートすることがベストといえるでしょう。血栓が形成され後ろ足が麻痺してしまった場合は、外科的に血栓を除去するか、内科的に血栓を溶かす治療(飲み薬による治療)を行わなくてはなりません。しかし、残念ながらこの状態になると再発するリスクが非常に高く予後はあまり良くありません。

どんな猫種がなりやすい?

メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどの猫では遺伝的な可能性も示唆されていますが、その他の猫でも起こりうる病気です。

主な予防法は?

早期発見を心掛けましょう。

猫の心臓病は原因が明らかになっていないことから、予防をすることは出来ない病気です。また症状も分かりにくい病気で、いざ症状が出た時には病態は進んでいることも多く、予後も良くないことが多いので、この病気の好発猫種は中齢を過ぎたら定期健診を行うことを強くおすすめします。(もちろんその他の猫種も検診はおすすめします。)

肥大型心筋症の診断にあたっては、聴診だけでは分からないこともあるようなので、前述のようなレントゲン検査、超音波検査等の検査も必要になります。つまりしっかりと検査を行わないとわからない病気なのです。そして、遺伝的な関連も示唆されている病気であることから、兄弟や親に肥大型心筋症を患った猫がいないかどうかを知っておくことも大切といえるでしょう。

肥大型心筋症の治療をスタートしたら何種類か薬を飲まなくてはならない状況になります。しかし、猫の場合、薬を飲ませることに苦労されることもあるかもしれません。でも、治療をスタートしたら毎日決められた回数きちんと飲ませなくてはいけないことは言うまでもありません。

もし難しくて苦労しているようであれば、錠剤から粉薬に変更してもらったり、混ぜる缶詰を変えたりなど、ちょっとした工夫をすることで猫もストレスなく薬を飲めるようになることがあります。気軽に獣医師に相談してみることをおすすめします。また、もし何かいつもと状態が違うときは早急に動物病院を受診しましょう。