どんな病気?症状は?

腎臓には『老廃物の排出』『血圧の調節』『赤血球を作るホルモンの分泌』『水分電解質pHの調節』『ビタミンDの活性化』など、様々な機能があります。腎不全は徐々に腎臓の機能が落ちる病気で老廃物が排出できなくなってしまう病気です。急性腎不全と慢性腎不全がありますが、どちらも吐き気を伴います。

急性腎不全は1日~数日の間に、嘔吐や食欲不振、元気消失、尿量が減る~全く出なくなる、などの症状を起こし、急速に体調が悪くなる病気です。適切な治療を行わなければ命を落とす病気です。

急性腎不全は早急に気付き対処をすることが出来れば、助かる可能性もある病気ですが、致命的になる可能性、そして慢性腎不全へと移行してしまう可能性もあります。

これに対し、慢性腎不全は数カ月から数年の経過で進行する病気で、進行性の病気です。残念なことに症状が出る頃には腎臓の機能はすでに3/4以上が失われている状態で、徐々に症状は進行していきます。はじめに飼い主さんが異変に気付くことが多い症状は多飲多尿(水をよく飲み、たくさん尿をする状態)や、吐き気、食欲不振などです。これらの症状が徐々に悪化していき、最終的には老廃物を排出することができない尿毒症という状態になり、昏睡状態になったり、痙攣をおこしたりします。

慢性腎不全は完治する病気ではありません。症状を緩和する治療を行い、QOLを高めることが治療の目的になります。

原因は?

急性腎不全の原因は腎前性、腎性、腎後性と分類されます。腎前性は脱水や出血、ショックなどにより循環血流量が減ることで生じます。そして腎性は、感染や中毒、自己免疫性疾患などにより腎臓自体が障害されることによって生じ、腎後性は腫瘍や炎症、結石などにより尿路が閉塞することで生じます。

これに対し、慢性腎不全は、腎嚢胞や腎結石、腫瘍などにより徐々に発生することがありますが、原因が明確にならない場合も多くあります。または急性腎不全から慢性腎不全に移行してしまう場合もあります。

病院で必要な検査、治療法は?

急性・慢性腎不全のいずれも、まず尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査は必須です。尿検査は事前に尿を採取することが出来れば持参するとスムーズに検査を受けることが出来るでしょう。血液検査は全身の状態や電解質やミネラル、腎臓の数値などを知る上で重要です。レントゲン検査や超音波検査でその他の臓器の異常や、腎臓の大きさや内部構造の変化を知ることが出来るでしょう。

治療は、急性腎不全の場合はまず原因となる要因を取り除くことが最も大事です。点滴をしながら、原因に対する治療を行いながら、その他必要な薬剤を併用しながら集中的な治療が必要になります。

慢性腎不全は、通院もしくは通院で皮下点滴を行い、食事療法を行うのが一般的です。その他、老廃物を吸着するため活性炭やリン吸着剤、降圧剤などを併用しながら、対症療法を行っていきます。(ただ、猫ほど犬では皮下点滴に対する反応もよくないと言われています。)

貧血の程度によってはホルモン剤などを用いて治療をおこなうこともあります。ただ、前述の通り、慢性腎不全での治療はあくまでも完治を目的としたものではなく、進行を遅らせるための目的で行います。治療の方針によっては獣医師と飼い主さんの間でしっかりと相談のうえで決めていく必要があるでしょう。

どんな犬種がなりやすい?

腎不全になりやすい犬種と言うのは明確にはなっていないようですが、腎炎を含む、腎臓の病気になりやすい犬種が急性腎不全を発症したり、その後の経過として慢性腎不全になることがあるようです。

主な予防法は?

腎不全を予防する上で予防法はありません。基本的には早期発見早期治療のスタートでしょう。急性腎不全の場合は、異変が見つかった場合には、早急に動物病院へ連れて行き対応をしてもらうしか方法はありません。そして慢性腎不全は初期症状で病気に気付きにくく、目に見えた症状が出た時には病態は進行してしまっているというところが早期発見を非常に難しくしています。

しかし、慢性腎不全の初期の異変は尿検査で感知することができます。そのため、中高齢以降になったら半年に一回の定期検診は行ってあげることをおすすめします。『食欲が落ちてきた』『痩せてきた』『毛ヅヤが悪い』など、単に老化と判断してしまいがちな症状であっても、腎不全の症状である可能性がありますので、気になっていることがある場合は一度検査をうけてみることをおすすめします。腎不全は早期に治療を始めることが、その後の治療に対する反応に大きく影響するといわれています。